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ファブボット「かんなちゃん」とデジタル・ファブリケーション
Fabbot "Kanna-chan" and digital fabrication

revised: 2016 / 03 / 03

はじめに

奥に鎮座まします青い半透明のマグカップがのっかっているロボットがマグボットです。手前は頭のドームがのっかる前の「かんなちゃん」

ファブボット「かんなちゃん」は、東京都市大学小池研究室で生まれた「マグボット」がルーツです。
「マグボット」は誰でもつくれるソーシャルロボット、という位置づけで100円均一ショップで手に入るものをボディパーツに取り入れ、頭には半透明のマグカップが活用されており、名称の由来にもなっています。
ぼくが所属するファブラボ関内で2014年に「マグボット」のワークショップが行われ、有志が参加しました。
そこから「マグボット」をダウンサイズしてカフェ等でよく見かけるプラカップに納まるようにしてみよう!というプロジェクトがスタートします。それが「ファブボット」として Maker Faire Tokyo 2014 (2014年11月) にてお披露目となりました。


ファブボット「かんなちゃん」のキット

その後、ワークショップ・プログラムとして展開するためにキット化にこぎつけ、昨年2015年にはファブラボ関内、at.Fab をはじめとして各地でワークショップを開催することができました。5月の Scratch Day Tokyo 2015 や 8月の Maker Faire Tokyo 2015 といったイベント等にも参加しました。

ファブボットはデジタル・ファブリケーションに必要とされるスキルを網羅しており、あらゆるスキルの入門にも最適です。
以下、ファブボット「かんなちゃん」を支えるテクノロジー (というとちょっと大げさですが) をご紹介します。


レーザー加工

ファブボットはプラカップに動作に必要なパーツが組み込まれますが、それらや頭部分を支えるのがレーザー加工されたフレームです。
現在は透明なボディを活かすためにアクリル板を使用することが多いですが、面の組み合わせで構造が維持できるものでしたら厚みをのぞいて材料に制限はありません。
これらは2Dの描画アプリケーションで加工用のデータを作成し、レーザー加工機で加工します。

6体分を一気にレーザー加工。3つのパーツを組み合わせてプラカップ内のフレームとしています。

3Dプリント

ファブボット「かんなちゃん」の可動部分は2つのサーボモーターだけです。あとは顔に見立てた基板で点滅するLEDのみ。これだけで結構表情豊かに見えてしまうものですが、サーボモーター取付用のブラケットは3D CADツールでモデリングしたものを3Dプリントします。取付用の溝やネジ穴も造形しておきます。
フィラメント (樹脂) の色を変えることでお好みの色にアレンジできます。

回路製作

ファブボット「かんなちゃん」では、顔に見立てた基板を自分たちで設計し、PCB製作を外注しています。
外注前の試作の段階ではミリング・マシンで切削して確認をします。

電子工作

キットの組立ては顔の基板に必要なパーツをハンダ付けすることからはじまります。
ハンダ付けの際はハンダではなく基板やパーツに熱を加えること、背の低い部品から取付けていった方が後の作業が楽になること、向きがある部品があり注意する必要があること等を確認していきます。

プログラミング

Arduino Leonardo (互換であれば利用可能です。)

Raspberry Pi Model B
通称ラズパイはいくつかのバージョンがありますが、マグボット互換機で使えるのは今のところModel Bのみとなっています。

ファブボット「かんなちゃん」のプログラミングには実は二つのフェーズがあります。
Arduino 互換マイコンだけで動かす場合は、Arduino IDE のスケッチでプログラミングを行います。
Arduino 互換マイコン + Raspberry Pi バージョンではすべての動作をビジュアルプログラミング環境、Scratch でプログラムします。


パッケージング

ワークショップにご参加いただき、ファブボット「かんなちゃん」をお持ち帰りいただく際はカフェからドリンクを持ち帰るような演出を準備しています。
ちなみにドリンクホルダーに使用している段ボールは某通販の箱の底に入っているもので、一応アップサイクルのつもりです。

キット (Arduino版) 完成



ファブボット「かんなちゃん」
搭載された2個のサーボモータで首を上下左右に振りながらLEDで表情をつくります。
横に映っているフライヤーは2015年2月のワークショップ開催時のものです。
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