ファブラボ品川 ディレクター
一般社団法人 ICTリハビリテーション研究会 代表理事
作業療法士
林 園子
こんばんは。今日のお話はこちら⭐️
まずは今一度、
「ファブリケーション(Fabrication)、デジタル・ファブリケーション」って何か?
について。
ファブリケーション(Fabrication)とは、
ここでは、「製造や組み立て」、「ものづくり」を指します。
デジタル・ファブリケーション(Digital Fabrication)とは、
レーザーカッターや3Dプリンタなどの、コンピュータと接続されたデジタル工作機械によって、デジタルデータを木材、アクリルなどのさまざまな素材から切り出し、成形する技術を指します。インターネットを利用して「データ化」したもののやり取りができます。
今日は、「なぜFabrication、とりわけDigital Fabricationが、障害のある方の’創作活動や表現活動を楽しむ’を手助けできるか?」について、お伝えしたいとおもいます。
なぜ?#1
・パソコンなどのデザインツールがあり、それが使えればものづくりができる
従来の作業療法で行われてきた木工や陶芸、革細工などのものづくり作業には、様々な工具や作業台が必ず必要でした。しかも、それぞれのものづくりに対し、専用の道具が必要。それを調達したり、道具がある場所へ移動し、道具を安全かつ適切に扱える運動・感覚機能が必要でした。Digital Fabricationは、デザインのみであれば一つのPCやタブレット端末などのツールで行えます。それを各々の機能に合わせて環境を整え、扱うことができれば大丈夫。最近はデザインに必要なソフトウェアもフリーであることが多く、幅広い機能レベルの方が気軽に「環境・情報・少しの練習」でものづくりに参加できるようになりました。
なぜ?#2
・データをつくる場所を選ばない
ものづくりのデザインデータをつくる作業はどこでもできます。作業場に行く必要はありません。からだやこころに傷や障害があり、作業をする場に行くことが難しい段階の方々でも「創作活動や表現活動を楽しむ」ことができます。
なぜ?#3
・作業工程の分担ができる
デザインしたデータを工作機械でいよいよ「もの」に仕上げるわけですが、ここは難しければ誰かにお任せすることもできます。そして逆に、お任せされることもできる訳です。デザインそのものも、インターネット回線を使えば、誰かと分担して「共同作業」することも簡単です。「障害のレベル」や「作業の好み」、「得意分野」に合わせた分担作業が可能なのです。
なぜ?#4
・失敗しても直ぐに作り直すことができる
リハビリテーションで、作業療法士などのセラピストが気にかけることの一つが、「適切な成功体験・失敗体験をして頂く」ことだと思います。「ものづくり」なので、当然失敗することもあるわけですが、たとえ失敗しても、直ぐに作り直すことが可能です。なぜなら、「デザインデータが保存されている」「データ送信後の出力(「もの」になる)がすごく速い」「出来上がったものをその場で見て触って、データを変更して、作り直すことができる」からです。もちろん、製作するもののレベルや種類により「体験の段階づけ」は可能です。
なぜ?#5
・データを共有できる
とは言え、「デジタルでデザインするスキルなんて全然ないよー」という方々へ朗報です。「スキルのある誰かが作ったデータ」が共有されています。無料でダウンロードできるデータもかなりあります。インターネット回線さえあれば、「好みの欲しいデータ」をいつでもどこでも利用できます。
デザインが面白くなって、少しいいものが出来たら、是非「世界のどこかの誰かに役立つように」共有してみましょう。障害があっても、その場所に行くことが出来なくても、「誰かの役に立つ」ことは可能です。
なぜ?#6
・データの変更ができる
「最初からデザインするスキルは自信ないけれど、このデータを私の好みや私の環境に合わせたい」という方々にも朗報です。そのデータのCC(クリエイティブコモンズ)をチェックしてみてください。「円の中にイコール⊜」のマークが入っていなければ、データを改変しても大丈夫。少しのスキルと工夫で、「一番欲しいかたち」が手に入ります。
いかがでしたでしょうか?
今夜は少し沢山おしゃべりしちゃいましたね。
Digital Fabricationの素敵さが、少しでもお伝え出来たなら嬉しいです。
次回はいよいよ、
#2:環境の工夫の一環としてのFabricationについてお伝えしたいと思います。
自助具とか、福祉用具とか、家屋環境なんかのお話ですよー。
お楽しみに⭐️