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ネパールの首都カトマンドゥにある The Institute of Engineering, Pulchowk Campus を会場に The Nepal Makeathon for Assistive Technology が開催されました (2025.02.16-18)

revised: 2025 / 03 / 06

INFORMATION

2025年2月16日から3日間にわたり,ネパールの首都カトマンドゥにある
The Institute of Engineering Pulchowk Campus を会場に開催されたインクルーシブ・メイカソンをサポートしました.

The Nepal Makeathon for Assistive Technology
2025年2月16日 (火) - 18日 (木)
会場:The Institute of Engineering, Pulchowk Campus, Lalitpur, Nepal

主催:Asian Development Bank (ADB)
   Impact HUB Kathmandu
   Kathmandu University Design Lab
   FabLab Nepal
   FabLab Shinagawa
協賛:Japan Fund for Prosperous and Resilient Asia and the Pacific (JFPR)



Day0 : オンラインセミナー

今年のメイカソンは「SOUTH ASIA REGIONAL MAKEATHON」と題され,ブータン,ネパール,スリランカの3カ国で開催されることになりました.
3Dプリンタなどで自助具を作成する活動,インクルーシブ・メイカソンではどのようなことを行うのかを事前に共有するために 2025年1月31日,参加者向けにオンライン・セミナーを実施しました.


Day1 : ニードノウアの紹介/インタビュー/チームビルディング/アイディエーション

このメイカソンでは1日目に実施されるニードノウアへのインタビューを重視しており,多くの時間を割いています.ニードそのものにとどまることなく,日々の過ごし方やキャラクターなど,お互いのコミュニケーションを通してエスノグラフィックな視点でもニードノウアを捉えることにより,プロトタイプの精度をあげることができるようになります.

支援者のコメントに耳を傾ける参加者たち.

スーパーバイザーとして参加している大学の先生も指導に熱が入ります.


Day2 : プロトタイピング

このメイカソンでは各チームの進捗具合が雰囲気でわかるよう,なるべく一つの場所で作業を進める形を取っています.ほかのチームから協力を得たい場合なども気兼ねなくコンタクトを取れたりすることも大きなポイントです.

早速各チームのプロトタイピングが進みます.

見慣れないフィラメントメーカーだなと気になったのですが,聞いてみたらカトマンズ大学デザインラボに所属する研究者によるスタートアップ企業が製造しているものでした.フィラメント製造装置は自社開発だそうです.ぜひ南アジア各国で連携をとり,特にブータンで著しいフィラメント調達の問題を乗り越えてほしいと思います.

出力結果も上々です.20代半ばで起業してこのように結果を出していることに驚かされました.ちなみにこの素材は PLA でペレットはやはり輸入に頼っているとのことでした.

会場の外には食事やお茶のケータリングが用意されており,参加者のみなさんのタイミングで気ままに過ごしていました.ケータリングはどれもとても美味しかったのが印象的です.


Day3 : プロトタイピング/プレゼンテーション

最終日は午前中でプロトタイピング,ドキュメンテーションの作業を終了し,午後は各チームのプレゼンテーションの時間となります.プレゼンテーション後の審査を経て受賞チームを決めますが,このメイカソンではアチーブメントの優劣を競うことが目的ではありません.

片手で歯磨き粉が絞れるようにする道具ですが,2日目の夕方には試せる状態に.

ベアリングをインサートしたギアを実装するチームも.

もちろんハンドツールも活用してプロトタイピングを進めます.

作成されたプロトタイプを試すニードノウア.

簡単な金属加工ならお手のもの.機械工学専攻の学生たちはその場で金属パーツを工夫して機構をブリコラージュしていきます.

視覚障害者のための触覚地図.はじめ3Dプリンタでの作成を試していましたが,最終的にレーザー加工機で作成したプロトタイプを試しています.

機械工学専攻の学生の参加が多く,機構に凝ったデザインのプロトタイプが多かったのが印象的です.


Day 3.5

メイカソンのプレゼンテーションが終了した後,ネパール国内の行政担当者や関係者が集まり,ポリシートーク(政策協議)の機会がもたれました. すべてネパール語で進行され,内容が全くわかりませんでしたが,会場から意見が出たり,拍手が湧き起こったり白熱した活発な議論がなされていました. このメイカソンがきっかけとなり,福祉行政に何らかの変化が起こることになるのではないでしょうか.現地のみなさんから今後の状況を伺っていこうと思います.


メイカソンを終えて

メイカソン終了後にパタン旧王宮の古い建物が建ち並ぶ地域:ダルバール広場に脚を運び,一角のルーフトップテラスにあるレストランで夕食を楽しみました.昼間は入場料が必要なエリアを無料で歩くことができ,ライトアップも楽しめるのでおすすめの場所です.


メディア掲載

英語,ネパール語を問わず多くのメディアに取り上げられています.
Nepal Makeathon Drives Innovation in Affordable Assistive Technology Solutions


ファブラボ品川およびコクリハブでは,ご要望に応じた内容の各種セミナー・ハンズオンをご提供しています.お問い合わせフォームからご連絡いただけましたら折り返し担当者からご連絡差し上げます.